公益財団法人 日本呼吸器財団
令和5年度研究助成のご報告

グリーンスペースと肺炎・下気道感染症の発症との相関関係とメカニズムの解明

研究代表者 昭和大学医学部・リウマチ膠原病内科 研究生 城下 彰宏 先生

受賞コメント

日本人の90%以上が都市部で生活しているとされる一方で、世界的にみて、都心部のグリーンスペースが少ない傾向にあります。そのため、日本における効果検証が必要ですが、介入研究の難しさや交絡因子の存在からグリーンスペースの効果を評価することの困難さがあります。本研究では、JMDCの縦断的データーベースを使用して、最新の疫学手法や機械学習モデルを用いて、各地域のグリーンスペースの経時的な増減と呼吸器疾患発症の推移との相関関係を評価します。さらに、グリーンスペースが呼吸器疾患予防に関わるメカニズムの解明も目的としています。大気汚染物質の濃度の低下や精神的ストレスの軽減、放射による気温の低下などを媒介して及ぼす効果を定量化する予定です。さらに都市化が進み、建物が増えていくことが予想される日本においてグリーンスペースのもつ影響を評価することは今後の都市開発において非常に重要であると考えられます。