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研究代表者 順天堂大学大学院医療看護学研究科 臨床病態学分野・呼吸器系・教授 植木 純 先生
セルフケア能力の向上・維持はHOTを実施する慢性呼吸不全患者や家族のQOL、健康状態を向上させ、増悪や入院を減少させて疾患進行を予防、さらには予後を改善させる上で重要である。一方で、慢性呼吸不全患者が包括的なセルフマネジメント支援を受ける機会を得ることは必ずしも多くはなく(日本呼吸器学会在宅呼吸ケア白書)、高齢化による知識の定着不足に対応するための反復介入も必須となる。本研究の目的は、個別化されたケアプランに基づき慢性呼吸不全患者のアセスメントを行い、助言や賞賛、行動計画を提示し、継続した支援を行う革新的な第4世代、ルールベースAIを搭載したモバイルアプリケーション(以下アプリ)を開発し、その有用性を検証することである。開発は多職種で構成された医療者チームの主導とした。対象はCOPD、ACO、間質性肺炎、CPFE、気管支拡張症等による慢性呼吸不全によりHOTを実施している患者である。アプリはoff-lineで作動し、看護師のアバターが声優の声で話しかけ、セルフモニタリング・スキルの向上、酸素濃縮器や酸素ボンベの適切な使用法や活用法・薬物療法も含めたアドヒアランスの向上、酸素を使用しての呼吸法習得や胸郭可動域向上、身体活動性の向上、包括的なセルフケアに必要な知識の習得等への介入による構成とした。
前向きランダム化比較試験の実施に関して、代表機関となる順天堂大学医学部附属浦安病院倫理委員会の承認を得たが、新型コロナウイルス感染症の蔓延により診療状況が変化、HOT実施者の健康状態を改善させる身体活動性向上への介入も困難となり、臨床試験に関する研究が中断されている。今後、必要な書類申請への対応等を含めた準備を行いながら、新型コロナウイルス感染症が収束傾向を示した後に開始を予定する。
セルフマネジメント能力の向上・維持は在宅酸素療法(HOT)を実施する慢性呼吸不全患者や家族のQOL、健康状態を向上させ、増悪や入院を減少させて疾患進行を予防、さらには予後を改善させる上で重要です。一方で、慢性呼吸不全患者が包括的なセルフマネジメント支援を受ける機会を得ることは少なく(日本呼吸器学会在宅呼吸ケア白書)、最近では患者の高齢化も問題となっています。セルフマネジメント教育の機会へのアクセスを改善させ、繰り返し支援する費用対効果の高い介入手法の開発は喫緊の課題です。本研究は、臨床の場にICT導入が加速する中で、間質性肺炎やCOPDなどさまざまな慢性呼吸不全患者を対象に個別化されたセルフマネジメント支援を行うルールベースAIを搭載したモバイルアプリケーションを開発し、多施設間臨床試験によりその有用性を検証することです。呼吸ケアの質向上につながる社会貢献のできる研究として、また日本から世界への発信を目指して、本研究を実施していく所存です。