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研究代表者 神奈川県立循環器呼吸器病センター呼吸器内科 医長 池田 慧 先生
特発性肺線維症(IPF)を合併した切除不能な小細胞肺癌に対するカルボプラチン+エトポシド+ニンテダニブ併用療法の第Ⅱ相試験(TORG1835 / NEXT-SHIP試験)として、2019年8月23日に、新潟大学中央臨床研究審査委員会で審査を受け、承認された。同年10月18日からjRCT公開されており(https://jrct.niph.go.jp/latest-detail/jRCTs031190119)、10月21日から症例登録を開始した。本試験の背景や試験デザインを紹介するプロトコール論文が、Therapeutic Advances in Medical Oncology誌にアクセプトされ、2020年5月18日からオンラインで公開されている。また、同じく試験の背景や試験デザインを紹介する動画がケアネットで公開されている(https://www.carenet.com/series/lcspecial/cg001988_43.html)。
今回は途中経過報告を行う。2020年6月23日時点での進捗は以下の通りである。
<登録症例数>10例/予定症例数33例
<主要評価項目>
① 細胞障害性抗癌剤の投与終了後28日までのIPFの急性増悪発現割合: 0%
<副次評価項目>
① IPFの急性増悪発現割合: 0%
② 奏効割合: 100% (2020年6月23日までに経過記録用紙が回収された7例は全てPR)
③ IPFの無急性増悪生存期間、IPF初回急性増悪までの期間、無増悪生存期間、全生存期間:評価不能
④ 有害事象発生割合
項目 | Grade | |||
---|---|---|---|---|
ALL Grade | ≧G3 | % | ||
白血球減少 | 7 | 87.50% | 3 | 37.50% |
好中球数減少症 | 7 | 87.50% | 7 | 87.50% |
貧血 | 8 | 100.00% | 0 | 0.00% |
血小板数減少 | 8 | 100.00% | 3 | 37.50% |
低アルブミン血症 | 6 | 75.00% | 0 | 0.00% |
AST増加 | 5 | 62.50% | 0 | 0.00% |
ALT増加 | 5 | 62.50% | 0 | 0.00% |
血中ビリルビン増加 | 2 | 25.00% | 0 | 0.00% |
クレアチニン増加 | 1 | 12.50% | 0 | 0.00% |
アルカリホスファターゼ増加 | 4 | 50.00% | 0 | 0.00% |
高カルシウム血症 | 2 | 25.00% | 0 | 0.00% |
低カルシウム血症 | 1 | 12.50% | 0 | 0.00% |
低ナトリウム血症 | 5 | 62.50% | 1 | 12.50% |
高カリウム血症 | 4 | 50.00% | 0 | 0.00% |
低カリウム血症 | 1 | 12.50% | 0 | 0.00% |
蛋白尿 | 4 | 50.00% | 0 | 0.00% |
発熱 | 2 | 25.00% | 0 | 0.00% |
発熱性好中球減少症 | 1 | 12.50% | 1 | 12.50% |
疲労 | 4 | 50.00% | 0 | 0.00% |
便秘 | 4 | 50.00% | 0 | 0.00% |
下痢 | 3 | 37.50% | 0 | 0.00% |
悪心 | 3 | 37.50% | 0 | 0.00% |
口腔粘膜炎 | 3 | 37.50% | 0 | 0.00% |
食欲不振 | 4 | 50.00% | 0 | 0.00% |
味覚異常 | 2 | 25.00% | 0 | 0.00% |
脱毛症 | 2 | 25.00% | 0 | 0.00% |
小細胞肺癌は化学療法を行わなかった場合の予後が肺癌の中でも特に不良であり、リスクを負ってでも治療を行うべき状況が多く想定されることから、有効かつ安全な治療法の開発が急務と考えました。そこで、特発性肺線維症を合併した切除不能小細胞肺癌を対象に、現在のみなし標準治療であるカルボプラチン+エトポシドに、急性増悪の発症抑制効果が期待されるニンテダニブを上乗せした3剤併用療法の安全性・有効性を評価する、世界初の多施設共同第Ⅱ相試験を計画しました。ハイリスク集団を対象とした試験の性質もあり、企業の支援が得られず、試験の実現が危ぶまれましたが、本助成金のお蔭で、胸部腫瘍臨床研究機構で本臨床試験の実施承認を頂くことができ、本年秋の試験開始に向けて準備を進めております。